いわゆる湿疹には軟膏などの外用剤で治療しますが、案外正しい方法で使われておらず、十分な効果が出ていないことがよくあります。お薬は何でも十分な量と回数を投与しないと十分な効果を発揮しません。
まず塗る回数ですが、原則として1日2回以上です。1回と2回では効果が7~8倍違います。1回ではほとんど効かない訳です。2回以上では1~2割効果が上がる程度なので、2回で十分ですが、口の周りや手などは軟膏がすぐ取れてしまいがちなので、拭いたり洗ったりして取れた場合は追加して塗ってあげて下さい。
次に塗る量ですが、最近はFTU(Finger Tip Unit)という方法が勧められています。これはチューブの軟膏を指先に1cm出すと0.5gとなり、この量を両手の手のひらの面積に塗ると十分な量であるという使用法です。この程度塗布すると皮膚がテカッとして塗ったところが目で見て判り、ティッシュペーパーが付着する程度になります。
最後に治療する期間ですが、これは短期集中と「ダメ押し」が決め手です。見た目で湿疹の赤みが消えて良くなった時点では皮膚炎が改善して血流が減少しただけで、炎症自体は治癒しきっていないものです。良くなったと思ったら、1日1回(治療レベルを下げる)にして数日見ても再燃しなかったら中止です。治ってなければすぐ再燃するはずですので、もうしばらく2回塗布してください。
いわゆるかぶれや汗疹、虫刺されなどは減量中止でかまいませんが、乳児湿疹やアトピー性皮膚炎などの慢性湿疹に対しては、下図のようなプロアクティブ療法という再発予防法が推奨されています。湿疹を早期に集中治療して一旦治ったら、間欠的に塗って、最終的に週末など週1回程度で再発予防をします。また再発した場合は早めに集中治療して抑えて、予防塗布に戻す方法です。
乾燥肌や皮膚の弱い子は間欠投与になったら、薬を使わない日は保湿剤などで、スキンケアをしっかりしてあげて下さい。
近年は、食物アレルギーやアトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患が、食べることよりも経皮感作といって、異常がある皮膚からアレルゲンになる食物やダニなどを擦り込むことによって起こることが多い事が判ってきました。アレルギーを予防するためには、このような刺激を水際で阻止することがとても大切です。 乳幼児期の適切なスキンケアと適切な離乳で、ほとんどのアレルギー性疾患は予防できると考えられてきています。