30年以上前から、新生児にビタミンK欠乏性出血症の予防にビタミンK投与がされてきました。従来は3回法[生後間もなく・産院退院時・1か月健診時]で予防されていましたが、これでもわずかですがビタミンK欠乏性出血症が発生しており、最近新生児関連学会の連名で生後12週まで毎週投与【13回法】が推奨されました。またビタミンK欠乏性出血症の多くは胆道閉鎖症などの肝胆道系の基礎疾患で発生していますので、その注意喚起も加えられました。
新しい提言内容は以下の通りです。
1. 肝胆道系疾患の早期発見のため、母子手帳の「便カラーカード」十分活用すること
2. 生後1週または産科退院時 のいずれか早い時期 、その後は生後 3 か月まで週 1 回、 ビタミンK 2(ケイツーシロップ)を投与すること
*1か月健診の時点で人工栄養が主体(おおむね半分以上)の場合には、それ以降のビタミンK2シロップの投与を中止してもよい。
新生児はビタミンKが不足しており、母乳中のビタミン母乳中のビタミンK含有量が少ないため、ビタミンK欠乏性出血症を発症することがあります。生後2週間以降に発症する遅発型は頭蓋内出血をきたす症例が多く、重い後遺症や命にかかわります。特に胆道閉鎖症などの肝胆道系の基礎疾患がある場合は発症しやすいため、便色の確認などによる早期発見・早期介入が欠かせません。
三重県では2020年度から、13回法を基本としていますが、まだ完全に周知されておらず、また全国的に普及しているわけでもないため、里帰り出産児などでは3回法のままの例がまだ見られます。
ビタミンK投与は予防投与のため保険診療になりません。1回分40-50円で購入して頂くことになります。1か月以降の分がない場合、お近くの産婦人科か小児科に御相談下さい。